思春期・青年期の患者さんへのアプローチ

プレイ3

思春期・青年期とは、心身の変化に伴って、これまでの自分を失って新しい自分を受け入れる激動の時期であり、大きなストレスがかかるために精神的にも不安定になる時期であり、様々な精神障害(例えば、強迫性障害、不安障害、身体表現性障害、摂食障害、非行や自傷や引きこもりといった行動上の問題、気分障害、統合失調症など)が好発する時期です。当クリニックでは、思春期・青年期の患者に対して、積極的なアプローチを行っています。

思春期・青年期にあらわれる症状や病態は様々ですが、私たちは、その中核的メカニズムを次のように考えています。児童期までは、誰でも、親があっての自分であり、自分がどのような存在なのかを考える必要は殆どありません。しかし、思春期・青年期になると性的にも身体的にも大人に一歩近づくので、親のもとにいることは強い不安を引き起こします。それゆえ子どもは自立しなければならない、と考えます。そのときに導き糸となるのが、それまでに環境との相互関係(特に親子関係が重要ですが、学校などから学ぶ部分もあります)から生まれた「こうありたい、このようになりたい」という理想の自己イメージです。しかし、それは現実の自己から生まれるイメージとはギャップがあるものです。そのギャップが、自分は劣っているのではないか、何か欠けているのではないか、といった不安を掻き立てて、自信喪失につながります。そしてそこから他人の評価に過敏になり、自分がどのようにみられているのかが気になる、という心性が起こります。健康で相互的な、普通の親子関係を経験している若者は、その際に、自分を振り返る機能がそこそこ育っているものです。そういう若者の場合には、現実の自分を実際の社会の中で位置づけることが出来るので、表面的には大騒動になるとしても、何とか思春期・青年期を乗り越えていくことが出来るものです。これは健康なケースですが、一見すると大問題に見えることもあるので、きちんと評価することが必要です。

一方、親子関係に行き違いがあったり、トラウマを経験していたり、ASDやADHDの傾向があったりすると、若者には自分を振り返る機能が十分に育っていないということが起こります。その場合、自分が何も出来ない気持ちになったり、自己不全感、「恥」の感覚、空虚感などが高まって、身動き出来ない感覚に陥ったりします。これが思春期・青年期に展開する病理の中核であると言えるでしょう。その場合、何が自分を振り返る機能を阻害しているかをきちんとアセスメントすることが先ず大事でしょう。

診察の流れ

電話での予約をお願いします。

診 察

診察の中で問題点を明確化します(通常、数回の診察や心理検査が必要です)。必要に応じて、家族と面談します。

アセスメント

情報の収集や、本人を治療の協力者として位置付けるために心理検査を行います。検査結果を伝え、治療方針を相談します。

セラピーについて

思春期・青年期には合併症や二次的な障害が起きている場合も多いので、先ずそれに対する治療(薬物療法・精神療法)が優先されますが、上で述べたような問題が前面に出ている場合には、自分を振り返る機能を養っていくことがセラピーの眼目となります。理想的には、本人に対する個人精神療法、グループ療法(思春期・青年期は他人の意見が気になる時期なので、集団での治療は特に有効です)、家族に対するガイダンス、学校などの環境調整を併用していくことになります。ただ、そのような理想的な治療を行うことは現在の我が国の健康保険制度では認められていません。そのため、上本町心理臨床オフィスなどでの自費によるカウンセリングを併用しながら、もっとも適切な治療を考えていくことになります。