特集 国際思春期青年期精神医学・心理学会

去る2018年6月29日から7月1日の3日間にわたり千里ライフサイエンスセンターにおいて、日本思春期青年期精神医学会第31回年次大会ならびに国際思春期青年期精神医学・心理学会第2回アジア地区大会が開催されました。
当日は海外招致の先生方をはじめ、多数の参加者の方にお越しいただき、盛況のうちに大会を終えることができました。当クリニックのスタッフは大会運営に携わり、1年近く前から大会準備を進めてきましたが、ここでは大会当日の様子や大会スタッフの感想などをご紹介したいと思います。

学会体験記

6月末頃に、千里中央で国際学会を行いました。その体験記を新人スタッフが書くように、とのお達しがありましたので、筆とった次第です。あいにく、私はこのテのものを書くのが苦手なので、毒にも薬にもなりませんがご容赦いただきたく存じます。

さて、学会ときいてこれを読んで下さっている奇特な方々はどのようなものをイメージされるでしょうか?専門家の方々には冗長かもしれませんが、簡単にいうと、調査や研究の成果をプレゼンテーションしたり、ポスターのようにまとめて掲示したり、テーマを設けて専門家同士が議論したりするのが学会です。(厳密にいうと、学会は研究者のグループのことらしく、ここでいう学会は年次大会と呼ばれるそうですが、年次大会に行った時にはよく「学会行ってきたー」と言ったりするので、学会としておきたいと思います。) 大抵の場合、学会の開催期間は3日間前後ですし、今回もそうでした。しかし、私が昨年度研修生として当クリニックでお世話になっていた頃から水面下では動いていました。当時の私は、「なんか学会やるんだなぁ。大変だなぁ」とよく分からないまま、チラシを折ったり、宛名シールを張ったり内職のお手伝いをしていました。「今年度からスタッフとして働かないか」と声をかけていただき、いざスタッフになったとたん、日頃の業務以外に色々な指示が飛んできました。なんだかよくわからないまま、言われたことを言われた通りにやっていて、「よくわからないけど、なんか忙しいぞ?」と思っているうちにスタッフオリエンテーションがあり、そこでやっと、飛んできた指示の意味がぼんやりとわかってきました。それでもやっぱり、なんだかピンとこない感じでした。ピンとこないなりに、自分が担当する係のことについてはできる限りの準備をしました。そして、前夜は会場近くのホテルに金庫番を兼ねて泊まり、最後の打ち合わせをしました。その中で、プログラムなどの都合で人員が足りない係があることが発覚し、「新しい係をつくる必要があるんじゃないか?」という話になりました。そこで、私はわりと閑職?な係から、その新設の係へコンバート。当初、担当する予定であった係の動きしかイメージしていなかった私は、涼しい顔をしながら、内心、「運営マニュアル頭にいれなきゃー!!!」と穏やかではありませんでした。そして迎えた当日、このコンバートは吉と出ました(と思います)。とはいえ、期間中は毎日、「こうした方がいいんじゃないか?」と、やり方を変えていました。その結果、最終日は参加者の方々にとってもスタッフにとっても一番スムーズなやり方になったと思います。
今回の学会には海外の先生も参加されており、英語を話せるスタッフの手を借りつつなんとか、やりとりをするという状態でした。未来道具のほんやくこんにゃくを常に口に含んでおきたい気分でした。私が英語を話せたら、もっとスムーズに動くこともできたのになぁ、と思います。とはいえ、慣れない言葉でやりとりをするのは、相手の意図を汲もうとすることに意識が向くものですね。
また、肝心の学会発表ですが、私はインカム越しに片手間にしか聞けず、悔しい思いをしました。学会に行くからには、きちんと演者の先生のお話を聞きたいものです。その代わりに、学会割引になっている本を何冊か買って、積ん読することにしました。買った本の一冊は、発表されていた先生が書かれたものです。一緒に勇気を出してサインをもらおうと言っていたスタッフは、抜け駆けしてちゃっかりサインをもらっていましたが、私はもらえずじまい。でも彼は、さながら『走れメロス』のメロスように会場中を走っていたので、それで溜飲を下げることにします。
長々と悪文を書きましたが、今回の学会で私が体験したことをまとめたいと思います。

・個別のことにばかり目を向けず、全体の中で何が起こっているのかを把握することで、目の前のことが意味するところがわかる(これは、不慣れな言葉でやりとりすることも同様)
・準備がものを言うが、状況に応じて変えることもまた重要

まとめてみて、今回の学会で私が体験したことは、私が考えるカウンセリングに必要なことかもしれないなぁと思いました。学会に参加したり、勉強したりしながら、腕をあげていきたいものです。とりあえず、積ん読を読了に変えるところから始めたいと思います。

文:奧田 久紗子