臨床コラム プリキュアの心理学2 ―最近の子どもと、Culture Bonding―

  • 1.「最近の子ども」は存在するのか?

 私自身、近ごろはあまり言われなくなったけれど、少し前までは「最近の若い人は~」と、よく言われた。(これ自体、嬉しいような悲しいようなフクザツな気持ちではある)それに反発する若者たちは、「最近の老害は~」と言うようだ。けれど、そもそも、『最近の若者』あるいは『最近の子ども』などというものは存在するのだろうか?

  • 2.プリキュアから考える文化と生活の連関

 ここ数シリーズのプリキュアは、何かと考えさせる、あるいは社会問題を仄めかすような内容が多い。2シリーズ前の、キラキラ☆プリキュアアラモードでは、男の子妖精のピカリオが人間に変身(?)して、「男の子プリキュアの誕生か!?」と騒がれた。1シリーズ前の、HUGっと!プリキュアではブラック企業の『クライアス社』を相手に戦い、主人公の『男の子だって、お姫様になれる!!』のセリフに驚いた人も多かった。今クールの、スター☆トゥインクルプリキュアには、いわゆる褐色のプリキュアが初登場している。また別のプリキュア、キュアミルキー/羽衣ララは、地球の年齢だと13歳だが、彼女の出身星である惑星サマーンでは大人扱いらしい。(惑星サマーンは江戸時代なのか??)サマーン人の寿命が分からないけれど、地球人と同じか、あるいは科学技術の差を考えるとさらに寿命は長いのだろう。仮に彼らが100歳まで生きるとすると、85年間は『おとな』として過ごすことになる。60年前後をおとなとして過ごす日本人(地球人)とは、25年ほどの差があるはずで、そうするとその人生、ライフサイクルも大きく変わってくるだろう。私たちの生活は、文化の影響を免れない。

  • 3.「最近の子ども」は存在しない

 子どもそのものは変わっていないだろう。しかし環境との関係の結果として、昔の子どもとは異なる現代の子どもたちが存在する。では、「最近の子ども」はどのような環境で育ち、どのような子どもになっているのだろう?それはまた次回。

(文:石田拓也)